The magic of epoch-making cafés in Paris

カフェから時代は創られる?カフェなんて、ただコーヒーを飲みに行く場所ではないのだろうか?私がパリに留学した2001年、東京では空前のカフェブームが起きていた。こだわりのケーキとコーヒーに、個性的なインテリア。図書館で日本の雑誌を読んでは憧れていた私は、一時帰国してカフェに行くのが楽しみだった。しかし帰ってみると何かが違う。パリよりよっぽどお洒落だけれども違うのだ。フランスのカフェには出会いがあった。たまたま隣あった人との何気ない会話、ギャルソンとのちょっとした会話。よいカフェに足を踏み入れると、自分もそこにいれてもらえたような安心感や一体感があり、そこは自分の居場所となって、我が物顔で使うことが許された。ちょうどパリのカフェに強い興味を持ち、1日3回通うようになったその頃、カフェは社会変革の発端の場であったことを知る。
 実はパリのカフェはお洒落なイメージとは裏腹に、啓蒙思想にフランス革命、近代絵画の誕生から実存主義に至るまで、新しい価値を生み出す舞台であり、社会変革の発端の場となってきた。これまで、カフェに言及した研究者たちは、成功した芸術家たちがカフェに集ったのだと書き、カフェという場の影響についてはほとんど考慮されてこなかった。しかし、私自身、ある場の熱気を通して人生が変わった経験、そして自身でも様々な場づくりをしてきた経験があり、実は彼らはカフェという場に通ったことでこそ、後に天才と呼ばれる偉大な人々になっていったのではと考えるようになっていく。素晴らしいカフェというのはブラックボックスのようなもので、そこに入った者たちを変えてしまうほどの力を持っている。モンテスキューも言うではないか、カフェから出るときは、入ったときより4倍頭がよくなっているのだと。ではカフェという場がそのポテンシャルを発揮し、客たちと絶妙に相互作用をしたときに、一体何が起こりうるのだろう。本書は歴史に名を残したカフェにおける、こうしたダイナミズムの解明を試みたものである。カフェの魅力に気づいた者たちは、飲み物を飲むためにカフェに来るのではなく、メニューに書かれているもの以外の恩恵にあずかり、カフェという場を使うために、その入場料としての飲み物代を支払うようになる。カフェだからこそできる話が存在するのは、カフェは社会の中でも極めて稀な、社会的コードから解放された場だからである。
 日本では飲食店としてのカフェは山ほどあるが、人々がそこを介して出会い、新たな価値を作り上げていくような活気あるカフェはきわめてまれである。それは世界的にみても非常にまれなことではあるが、カフェという場は21世紀の今でもそんなポテンシャルを持っている。本書を通してカフェという場のポテンシャルが認識され、これからの街に、一軒でも多くの素晴らしいカフェが増えてくれれば幸いである。

 

目次

 

はじめに

第一章 カフェと「天才」たちとの不思議な関係

  • カフェに通った「天才」たち
  • 軽視されるカフェという場が果たした役割
第二章 カフェに通った「天才」たち
  • 「天才」と才能
  • 意思の重要性
  • 「天才」たちへの強い憧れ
第三章 カフェに出会う以前の「天才」予備軍の共通点
  • 「何者か」になりたい
  • 周囲と異なる価値観をもつ
  • 追放の恐怖と秘密主義
  • 孤独と狂気
  • 「ここではないどこか」へ
第四章 カフェという避難所
  • カフェという自由な世界
  • 独特の連帯感
  • カフェと結びつく客の人格
  • 居続けられる自由
  • 「お客」という身分の保証
  • 権利の平等
  • カフェとサロンの異なる点
  • サロンの女主人が背負う二重の役割
  • 思想の自由を求めてカフェへ
  • 時間的束縛からの自由
  • 振る舞いの自由
  • かけがえのない避難所
第五章 商売人としての主人
  • カフェの主人の重要性
  • 仕事で育まれてゆく愛情
  • 大切にされる常連客
  • 主人の意思にそった事業経営
  • 話し好きな主人
  • カフェが育む主人と客との相互利益
  • 主人からの承認
  • 主人の紹介とネットワークへの参入
  • カフェのカウンター文化
  • パリのカフェ文化を支えるアヴェイロネ
  • お客に対する主人の愛情
  • 戦時中の真の避難所
第六章 カフェと人との相互作用
  • カフェという場のもつ力
  • カフェを選ぶアトラクター
  • アトラクターを中心とする5つの世代
  • アトラクターが形作るカフェの雰囲気
  • 媒介者の存在
  • 自己を表現する勇気
  • 先輩世代との出会い
  • 先輩世代の乗り越え
  • 仲間との出会いと切瑳琢磨
  • 議論で育む共有知
  • カフェでの議論の有効性
  • オルタナティブな価値観の模索
  • 予期せぬ出会いと「偶発力」
  • 予期せぬ会話や音の吸収
  • ノイズからヒントへ
  • 予期せぬ光景との出会い
  • 創造行為とインスピレーション
  • 受動的態度の重要性
  • カフェで育むインスピレーション
  • 異邦人の視点
  • 複数の視点と普遍性
  • 自分自身の表現方法
  • カフェが助ける創造行為の現実化
  • 創造発生を促すパリという街
  • 作品を世に出す時の支援
  • テラスで育むネットワーク
  • 後輩世代への恩返し
  • 結論
  • おわりに 

 

 

 

caféから時代は創られるの書評

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 ※ 『caféから時代は創られる』をお探しの方へ 大変申し訳ありませんが現在どこへいっても在庫切れの状態だそうです。2019年11月末にはクルミド出版さんから再販予定です。具体的な日程が決まりしだいご連絡させていただきますので、購入をご希望の方はお問い合わせフォームからご連絡ください。また、「パブリック活性化のための7つのルールと、オープンカフェが果たす社会的役割」についての本は2020年初頭に出版予定です。こちらも購入をご検討中の方は是非お問い合わせフォームからご連絡ください。詳しいことがわかり次第ご連絡させていただきます。

 

『caféから時代は創られる』についてBlog等で触れてくださっている方のリンクを貼らせていただきます。

 

東京大学 中原淳先生のブログ「出会いと創造の場:飯田美樹 「Cafeから時代は創られる」 を読んだ!」ニュータウンでひたすら子育てに追われていた時この文章に出会ってどんなに衝撃を受けたことか。ここから様々なつながりが始まりました。

 

西国分寺のカフェ クルミドコーヒー 影山さんの文章「西国分寺がパリになる日」クルミドはついに日本一のカフェに選ばれたそう!

 

クルミドの夕べ「カフェから時代は創られる?」に参加した市原さんのBlog 素晴らしくまとまっています!

 

永田ジンさんによる「cafeから時代は創られる」響いたポイントまとめ  情熱を感じます。

 

PRESS PARIS さんによる書評。パリ好きの方も是非!